いつまでも残るもの
~この時代の教育を考える~

  • 2018.02.14

入学試験の季節となって

今年も入学試験の季節となった。本校でも中等部そして高等部の入学試験が行われ、無事に終了することができた。私学にとって生徒募集は最重要事項の一つだが、昨今の少子化と女子校離れの傾向の中で応募者を確保することは大きな課題となっている。

この一年の生徒募集の仕事を振り返ると、確かに以前に比べて仕事量は格段に増えたように思われる。内外の説明会の回数も随分多くなった。生徒確保のための知恵や工夫も多く考えなければならなくなった。とりわけ本校のような立ち位置にある学校では、より一層の努力が必要であったように思われる。たしかに数多くある学校の中から学校を選んでもらうためには、明確な教育方針とその発信が必要になのだろう。

しかしそれは同時に、私学がその教育方針の独自性を明確に発信することで、教育の多様性、選択肢の幅の広さ、選べる自由があることを示す機会となっている。国全体の教育が画一化されないためにも私学がそれぞれの独自性を発揮して、選択する自由をアピールすることが必要なのかもしれない。

本校の生徒募集で際立っていたことは、在校している生徒自身が誇りを持って自校をアピールする活動を続けてくれていることだと思う。広報スタッフという数十名の任意の生徒グループが、説明会ごとに受験生に本校の生活を語り、校舎案内をし、質問に答えてくれた。その態度が非常に好感を持てるものであったからか、それにより本校の教育を理解してくれた受験生が多くいたように思われる。説明する生徒たちは、語ることで自分の今を確かめているようでもあった。このような「自己肯定感」を持てることは幸いだ。それが本当の自分を作っていくのだから。

生徒募集を巡ってもう一つ言えることは、以前と比べて受験生、そしてその保護者の個別性に対する思いが強くなったことだろう。大量の受験生があったころは、入学するまでは受験生を集団として捉え、数量で受験生を見ることがフェアであると考えていたように思うが、説明会や個別相談、そして今年度は「人間学講座」への参加などを通して、受験生及び保護者の個別性が入学前からわかるようになってきたことに特色があったかもしれない。それは決して縁故入学を意味するものではないが、本校の教育内容を理解し賛同する方に受験をしていただくことが、より明確に進められたように思われる。第一希望での合格が多かった。私学のあり方として良いのではないかと思わされた。

新入生を迎える準備はこれからが本番だ。選択された方々の期待に応えられるような教育の中身の充実をこれからもさらに図っていくことが、私たちに問われている。より豊かで確かな教育の実現を目指して、そして伝えた教育内容が本当に実現するために、今まで以上の努力を重ねていきたいと思っている。

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