いつまでも残るもの
~この時代の教育を考える~

  • 2017.06.05

高大連携を目指して

 学習指導要領の次期改定に向けて様々な情報が入ってくる。小学校、中学校の課程では具体的なカリキュラムが提示され、「道徳の教科化」等の新しい課題が議論されている。高校の改定も大枠や必履修科目が示され、「公共」の新設など教科の編成が話題となっている。それと同時に高大接続や大学入学試験のあり方が大きな問題をして提起されている。

 今まで様々な教育改革が試みられたが、大学入試の枠組みが変わらぬ限り、高校までの学習内容に変化は見られなかった。学力試験により獲得して点数による選別ではどうしても、入試学力と言われる知識量による選考となりやすい。そして高校までの学習が知識獲得型の学びになりやすく、知識注入型の覚える授業になりやすかった。考える力や表現する力、対話する力や自分でものを判断し決断する力が養成されないという問題点が従来から指摘されていた。今回の改定では高大接続のあり方を変更することで、生きる力を身につける学習を実施したいとの方向性を見ることができる。

 また今回は学習方法のあり方が言及され、アクティブ・ラーニングという文言が何度も書き込まれ、従来の授業形態の変更が示されている。知識注入型から問題解決型学習への転換を図るための方法が提示されているのだろう。

 このような改革の動きは、今まで本校が目指してきた教育の方向性と合致していることを嬉しく思っている。そしてここ数年、卒業生を通してつながりのある大学との間に、高大連携のあり方を巡って話し合い、卒業生を受け入れてもらってきたポートフォリア型の入試傾向をさらに確実なものにしていくことが出来そうな予感を与えてくれる。

 本校ではTAP(玉聖アクティブプログラム)といって、自分の興味関心に基づいて、選択授業や学校が設定している様々な行事、紹介するNPO法人や外部団体の主催するワークショップや体験学習に参加し、自らの体験を記録し、文書化したり言語化したりすることで体験の経験化を図り、蓄積された知識をもとにさらに学びを深めることができる大学の学部のAO入試に出願するという受験方法を進めてきた。大学側でこの試みが評価され、各分野の専門家を本校の出前授業に派遣してもらうとともに、大学の推薦枠の拡大などで具体的に協力をしてもらうことが可能なってきている。学部学科の内容を十分に分かった上で、ピンポイントでその大学に進みたいという意思を持った学生の入学を期待していることの表れではないかと思っている。

 本校の生徒たちの様々な活動が活発になっている。外部の体験学習に進んで参加する生徒が目立ってきたのは、決して推薦入学のための条件を満たすための行動ではないだろう。高大接続の状況の変化を視野に入れつつも、高校生だから学べること、感じることのできる感性、将来ヴィジョンの検証のために体験を重ねることの意義を実感しているからではないかと思う。そのような場の提供をこれからも行っていきたい。

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