- 2023.08.21
今週のメッセージ「神の恵みを数える日」
「ヨセフは兄弟たちに言った。『どうか私に近寄ってください。』彼らが近寄ると、ヨセフは言った。『私は、あなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。私をここに売ったことで、今、心を痛めたり自分を責めたりしないでください。神はあなたがたより先に私を遣わし、いのちを救うようにしてくださいました。』」創世記45章4節~5節
夏休みは家庭で過ごす時間が増え、家族の思い出もできる時です。
でも、長い時間一緒に過ごすと、意見の食い違いや考え方の違い、家族であるがゆえの遠慮のなさに腹が立って、イライラ、ムカムカしながら同じ家の中にいることもあるかもしれません。ちょっとしたイライラならそれも家庭生活の一コマですが、ことが大きくなると深刻な問題になることもあります。コロナ禍によって家の中ですごす時間が増え、家庭崩壊が増加しているともいわれています。人間同士が心からいたわりあって生きていくことは、なんと難しいことなのでしょう。
この聖書の箇所は旧約聖書の創世記、ヨセフ物語といわれる壮大な家族の物語からのヨセフの言葉です。
ヨセフの人生は波乱の連続でした。兄たちに妬まれ、騙されて連れ出され、エジプトに売り飛ばされ、囚人として投獄までされました。けれど、彼は夢を読み解くという賜物によってエジプトで起こった飢饉に備え、十分な食物の備蓄をし、ファラオ王に認められて司政官となります。ヨセフのもとに各地から食料を求めてくるものたちがいましたが、その中にヨセフの兄たちがいました。ヨセフは自分を弟とは知らずにやってきた兄たちと劇的な再会を果たします。ヨセフは自分を捨てた兄たちに仕返しをするどころか、再会に涙し、それも家中に響き渡るほどの声を上げて泣いて、奇跡的な再会を喜んだのです。そのクライマックスのヨセフの言葉です。
「神はあなたがたより先に私を遣わし、いのちを救うようにしてくださいました。」
ヨセフは苦しかった自分の人生を、神の計画が先に働いて自分をエジプトに遣わした、神の恵みとして捉えることができたのです。家族との再会とともに、神のご計画のうちに生かされてきたことに心から感謝できたのです。
後になればなんとでも言えると思われるかもしれませんが、恵みは過去を振り返って数えるものです。後にならなければ神の恵みを数えることはできません。もしかしたら自分が思い描いていたものと違う人生を送ることもあるかもしれない。けれど、イェス様が共に歩んでくださっていると信じられる者は、人生を振り返った時に、共に歩んでくださったイェス様の恵みを一つひとつ数えることができる、ということをこの物語は教えてくれます。人間にとって意味のない人生はないのです。
家族の大切さを忘れている時、自分の意思と関係なく家族や周囲の人たちに翻弄されていると思えるような時でも、イェス様がともにいてくださることを信じて祈りつつ、イェス様と共に歩んでいきたいと思います。
【祈り】
いのちを与えてくださる神様。今日も私を神様のご計画のうちに生かし用いて下さい。神様が出会わせてくださった人々と共に生きていくことが出来ますように、愛と力を注いでください。イエス様のお名前によって祈ります。アーメン
(中等部教頭 笠井洋子)
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