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  • 2023.08.07

今週のメッセージ「平和を追い続ける」

「悪を離れて 善を行い 平和を求め それを追い続けよ。」
詩篇34篇14節

毎年のことながら、8月を迎えると「平和」について普段以上に意識するようになります。
戦争の大きな傷跡である原爆の記憶をはじめ終戦記念日を迎え過去の悲惨な記憶を呼び起こす時期であるからです。記憶といってももちろん私自身が実際に体験した記憶ではありませんが、私の祖父母世代の方々の戦争体験の記憶は、郷土の記憶として、また私たちの国の記憶として語り継がれなければならないものであると思っています。なぜならば、体験者の言葉が残らずに忘れ去られてしまうと、その体験したこともなかったことにされてしまう恐れがあるからです。
広島・長崎の原爆による被爆者や沖縄戦体験者の語りべの方々が高齢になられて年々減っていく中で、戦争がもたらす悲惨さよりも、国家間の競争や損得の方をより意識し、重要課題として取り扱われる傾向が年々強くなっていると感じています。対立の芽を摘み取り仲良くしていく努力よりも、対立したまま相手よりも有利な立場になる状況を作ることに力を注いでいるように感じるのです。それどころか、戦争の悲惨な記憶を茶化したような振る舞いや差別を見る事すらあります。やはり平和希求につながる記憶は確実に伝えられて平和への思いを育てていかなければなりません。

「平和」を意味する言葉をヘブライ語では「シャローム」と言いますが、この言葉は単に戦争がないというだけではなく、社会的にも精神的にも満たされて安らかな状態、「平安」の意味もあります。特に、神さまと人間との関係が本来あるべき状態に回復されて、祝福に満ち心安らかなことです。
戦争が起きていないという意味では私たちの国は平和な国と呼ばれるのかもしれません。しかし、私たちに本当の「平安」があるでしょうか。対立と分断が進むような社会の中にあって「不安」を感じることはないでしょうか。実際のところ、「不安」を払拭するための行動がより「不安」を助長していると感じるのは私だけでしょうか。

冒頭の詩篇は、イスラエル王国二代目の王であるダビデの言葉です。ダビデは王になってからも、神さまが与えてくださる平和を願い追い求めました。そしてダビデは息子に「シャローム」に由来している名前を付けました。それが後に三代目の王となったソロモン(平和な人という意味)です。ソロモンは、ある晩、夢の中に現れた神様から「あなたに何を与えようか。願え。」と言われて、「善悪を判断してあなたの民をさばくために、聞き分ける心をしもべに与えてください。」と願いました。ソロモンのこの願いは、神さまのみこころにかなっていたので、神さまはソロモンに知恵と判断の心を与えました。そればかりかソロモンが願わなかった富や誉れもお与えになりました。

神さまが与えてくださる「知恵と判断の心」は、民主主義の国に住む私たちにとって、政治を司る人は当然ながら、それ以上に、私たち一人ひとりに必要なものです。積極的に願い求めましょう。悪を離れ、善を行う為に、そして平和を求め、それを追い求めていくためにです。また、神さまとの関係回復こそ「平和」のはじまりです。そしてそこに「平安」があります。社会的にも、精神的にも、そして何より霊的な満たしがあります。
私たちにとって必要なことすべてを神さまはご存知なので私たちは心配することはありません。

「まず神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはすべて、それに加えて与えられます。」 マタイの福音書6章33節

お祈りします。
天の父なる神様、あなたは私たちのすべてをご存知です。一人ひとりにあなたから恵みと祝福の計画があることを信じ感謝します。今週もあなたの愛が私たちをかこんで、あなたと共に歩ませてください。また私たちが、悪を離れて善を行うことが出来るように、そして平和を追い求めていくことが出来るように知恵と判断の心をお与えください。
イエス様のお名前によってお祈りいたします。
アーメン。

(事務長 金城信道)

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