新約聖書 ペテロの手紙 第一 5章6節
「ですから、あなたがたは、神の力強い御手の下にへりくだりなさい。神が、ちょうど良い時に、あなたがたを高くしてくださるためです。」
じっと同じ場所にとどまることはストレスがたまります。我慢するというのは、自分のやりたいことをこらえて心と体を抑えるような作業です。それをずっと続けていると、どこかで爆発したくなるのも無理はありません。何かを耐えるためには未来の約束が必要です。この状況はあくまで一時的なものであって、ここから解放される将来がやがてあるという保証がなければ、私たちは耐え続けることができません。キリスト信仰とは、神の約束の実現を待ち望む忍耐だと言えるでしょう。
神がここで約束しているのは「ちょうど良い時」の到来です。その時に私たちは、神によって高い存在に上げてもらえるというのです。もちろん、聖書が語る「高さ」とは、他者を見下せるようになる権力や能力を手に入れるということではありません。ここで語られているのは、人間の今の価値観の中では思いつかない種類の高さについてであって、神と同質のいのちを持つということに関係しています。そして、やがてその現実に到達するためには、今の神の導きから逃げたり逆らったりするのではなく、導かれた中にとどまり、時を待つことが安全な近道だと勧められています。
「力強い御手の下に」と表現されているように、ある状況からはどうがんばっても逃れられない、動けない場合が私たちにはあります。その時は、無理矢理抵抗するよりも、神の時がやがて来ることに信頼して、そのままそこにいましょう。あなたがへりくだるのは神の御手の下です。人間の手の下ではありません。だから安心してへりくだることができるのです。
【祈り】
天のお父様。人はいろいろな未来や可能性を語ります。しかし、本当の未来を知っているのはあなただけです。そしてあなたは、私にとってちょうど良い時がいつなのかを知っておられます。あなたの導きに信頼して、今日ここでよい生き方を選べるように助けてください。
主イエス様のお名前によってお祈りします。アーメン。