新約聖書 ヤコブの手紙 5章12節
「私の兄弟たちよ。何よりもまず、誓わないようにしなさい。天をさしても地をさしても、そのほかの何をさしてもです。ただ、「はい」を「はい」、「いいえ」を「いいえ」としなさい。それは、あなたがたが、さばきに会わないためです。」
人は大切な約束をするときには、ハンコを押したりサインすることを要求します。つまり、口約束だけならお互いに守らないということを、人間は経験的に知っているのです。しかし神には守らない約束は存在しません。一度誓ったら必ずその通りにすることが神にとっての約束というものなのです。
神の人間との契約という意味で、聖書は、旧「約」聖書・新「約」聖書と名付けられています。旧約聖書では、不誠実に契約破棄を繰り返すイスラエル民族の姿が、人間の代表として描かれています。しかし神の側は約束を忘れません。人間が約束を守れない存在であるならばと、代わりに責任を取らせる存在として救い主を地上に送り込みます。そしてその救い主を受け入れた者を新しく造りかえます。そうすることで、人間を神との契約に耐えうる者とし、神と愛し合える友にしようとしました。新約聖書は、イエスこそがその救い主であると証言している書物なのです。
人が神と契約を結ぶとしたら、それはキリストを通してのみできることです。その場合、私たちが神への贈り物を用意する必要はありません。イエス・キリストが自分自身をいけにえとして、神への完全なささげ物になってくださったからです。
ですから、私たちが神に祈るときにも「これからは~しますから」「もう~はやめますから」というような条件付きで誓約する必要はありません。どうせやれないかもしれないことを無理に誓って、真剣さをアピールしなくてよいのです。神は私たちの浮き沈みのある弱さを知った上で救い主を与えてくださいました。ただ、神の善意を信じて願い、答えを受け取ったときには精一杯感謝しましょう。道を外れたときには、向きを変えて素直に謝りましょう。神が私たちに求めていることは、神と共にそのまま正直に生きていくことなのです。
【祈り】
天にいらっしゃる父なる神様。私の心があなたを恐がらずに、素直に自分の願いを伝えることができるようにしてください。そしてあなたが与えてくださるものを、あなたの子として喜んで受け取っていくことができますように。
イエス・キリストの御名によって祈ります。 アーメン。